成田研究室が開発・運用している観測装置MuSCATシリーズに、新たな仲間MuSCAT4が加わりました。
MuSCAT4が搭載されたのは、オーストラリアのサイディングスプリング天文台にあるLas Cumbres Observatory (LCO) が運営する2m望遠鏡です。今春から本格的に開発を進めてきました。研究室メンバーも現地で取り付け作業や試験を行い、2023年10月6日にファーストライト(初めての観測)を迎えました。
MuSCATシリーズは可視青色光から近赤外線にかけて複数のバンド(フィルター)で同時に観測ができる装置です。この多色測光という手法が、系外惑星のトランジットなどさまざまな天体現象の観測において強みを発揮します。シリーズとしてはこれまでに、岡山の188cm望遠鏡にMuSCAT、スペイン・テネリフェのTCS 1.5m望遠鏡にMuSCAT2、アメリカ合衆国・マウイのLCO 2m望遠鏡にMuSCAT3が搭載されています。ここにMuSCAT4が加わることにより、多色測光観測が南半球でも行えるようになりました。
さらに、これまでの装置に比べてMuSCAT4の新しい点は、ナトリウムの検出に適したナローバンドフィルターが搭載されたこと、乾燥した砂漠でも砂埃に強い水冷式CCDを採用したことです。MuSCAT4が今後さまざまな研究において活躍することが楽しみです!
<リンク>
MuSCAT3/MuSCAT4の装置性能をまとめたLCOのWebウェブサイト (英語) https://lco.global/observatory/instruments/muscat/
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1枚目: 望遠鏡に取り付けられたMuSCAT4の前で記念撮影。
2枚目: 春からMuSCAT4の開発を行ってきた実験室にて、輸送前の一枚。 3枚目: MuSCAT4が取り付けられたLCO 2m望遠鏡 (Faulkes Telescope South)
4枚目: サイディングスプリング天文台では当たり前のようにカンガルーを見かけます。